「Inside the Mind of the Shopper」(邦題:「買う」と決める瞬間)翻訳者として得た知識を紹介する本シリーズ、前編「買い物客は店内滞在時間の80%を、無駄に過ごしていた」では、米国の買い物客の3つのタイプと購入までのステップ、そして店舗の多くがその事実に則していないことを学びました。後編では、これらに対応したスーパーマーケットの例を紹介します。
スーパーは、買い物客あっての存在です。当然買い物客を第一に考えて経営がなされていると思うところですが、実態はそうではないようです。実は米国のスーパーの利益の多くは、買い物客の財布から出ていません。以下は、典型的な米国のスーパーの収益源を大きな順に並べたものです。
1. メーカーからの販売促進協賛金や棚代(商品を陳列してもらうためにメーカーが支払うもの)
2. 売り上げ金の利息(銀行に預けた売り上げ金につく利息)
3. 不動産(小売店が所有する土地や店舗の価値の上昇分)
4. 売り上げによる利益(商品カテゴリーによっては高い利益率も期待可)
米国のスーパーマーケットは、ウォルマートに代表されるマスマーチャンダイザーの攻勢にあえいでいます。価格競争に陥って利益率が低下しているスーパーマーケット各社は、メーカーに対しさまざまな協賛金を要求するよ
うになりました。その結果、収益源のトップが協賛金となってしまったわけです。そしてそれは同時に、根本的な手を打てないで立ち尽くしているスーパーマーケット各社の姿も浮き彫りにしています。
この事実こそが、本書『「買う」と決める瞬間』が、現在必要とされている理由なのです。
●ときは金なり
従来スーパーは、買い物客の来店1回当たりの購入額を増やす努力をしていました。そのための工夫として、店内にできるだけ買い物客を滞留させ、目当ての商品を買う過程でほかの商品にも注意が向くよう、特売品を店の一番奥に陳列するなどしていました。
ところが、店舗の売り上げは買い物客の店における滞留時間ではなく、買い物の効率と大きく関連していることが多くの調査から判明しました。上のグラフを見て分かるように、1ドル使うのにかかる時間が30秒短くなると、売り上げはなんと倍になります。まさしく「ときは金なり」で、お客様が買い物を素早くできればできるほど、お店の売り上げは増えるのです。つまり、1ドルの売り上げを上げるのに何秒かかっているかに注目すべきだったのです。
ここで脚光を浴びるのが、前編で説明した「急ぎの買い物(Quick)」です。この図からも分かるように、店内に長く滞在する「まとめ買い(Stock-up)」よりも急ぎの買い物客の方が、 Ferragamo 靴
1分当たりに使う金額がはるかに大きく勾配も急です。急ぎの買い物客を少しでもグラフの左側に寄せる努力をする方が効果が出やすいのです。売り上げを伸ばすためには、急ぎの買い物客の効率改善のために、店舗のデザインや品ぞろえ、商品の配置などにどう取り組むのかが大切ということです。
●スチュー?レオナルドの奇跡
買い物客の行動原理に基づいて店舗設計を改革し成功した事例として、米国の生鮮食品中心のスーパー「スチュー?レオナルド」が挙げられます。アメリカのコネチカット州にある地元のスーパーマーケットで、チェーンストアではありません(家族経営で、現在4店舗)。しかし、徹底したユニークな顧客サービスを行っていることが評判で、国内外の視察団がひっきりなしに訪れています。このお店の繁盛ぶりは、「あまりにも多くのお客が集まるため、消防署から警告を受けた」というほどです。
スチュー?レオナルドが、多くの顧客を集めている理由は大きく2つあります。どちらも買い物客行動の根本原理に基づいたものです。
1 取扱商品数を2000まで絞り込んだ
前編でお話ししたように、多くのスーパーは「まとめ買いする顧客を重視する」方針から、3?5万もの商品をそろえています。しかし、それは「一般的な購入品数は1品」という買い物客にとっては、ありがた迷惑でしか UGG 靴
ありません。本当に必要な商品が、大量の商品の山に埋もれてしまうからです。スチュー?レオナルドは商品数を2000まで絞り込んだことで、「どの商品を選ぼうか」という商品選択の悩みを解消し、買い物のスピードをアップさせることに成功しました。
2 通路を一本道(一方通行)にした
多くの小売店は、数万種の商品をなんとか買い物客に買わせようとして、売れ筋商品を売れ筋ではない商品の間に隠して陳列しています。このため買い物客は、どの売場へ行くべきか悩み、イライラし、探し疲れる羽目になります。しかし、スチュー?レオナルドは、店舗内に商品の間をうねりながら走る1本の幅の広い通路を作りました。この通路のおかげで、買い物客は「次はどの売場へ行けばいいのか」という悩みから解放され、買い物のスピードをさらに加速させることができました。
ちなみに、スチュー?レオナルドの経営方針は次のようなものです。
わたしたちのポリシー
?ルール1 お客さまは常に正しい
?ルール2 もしお客さまが間違っていると感じたら、ルール1を読み直せ。
We so believe in a satisfied customer that we
carved our philosophy into a three ton granite rock(わたしたちはお客さまの満足につながると信じ、このポリシーを3トンの花崗岩に刻む)
●成功するお店とは
真の成功するお店とは、3タイプ(急ぎの買い物、買い足し、まとめ買い)の買物行動のうち、急ぎの買物に焦点を当て、「商品が多すぎて何を選んだらよいか困る」と「商品が探しにくくどの売場へ行けばいいのか分からない」という彼らの買い物での悩みを解消し、1ドルの売り上げにかかる秒数を短くしたお店ということができるでしょう。
ソレンソン氏も、これから成功するのは適切な商品を、それを求める買い物客に、適度な時間内に提供できるように、効率よく売場を管理できる小売店だと断言しています。日本のコンビニエンスストアは、まさしく急ぎの買い物に特化した小売店の成功例と言えるでしょう。
本書では、今回紹介した例に加え、買い物客のニーズにスーパーが応える上で必要なデータや考え方を多数紹介しています。興味のある方は、書店で手にとってご覧ください。最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
●成功するお店を作るポイント
?お客さまの買い物効率を追及した店舗ほ
ど、売り上げ高が増える
?買い物効率を上げるには、買い物客の行動原理に基づいた店舗設計が重要
?お客さまの時間を節約するために、取り扱い商品数を厳選すること
?人間工学的な特徴を踏まえたうえで、買い物客の歩く道筋を考え商品を並べること
?徹底的にお客さまのことを考えること
●「買う」と決める瞬間
著:ハーブ?ソレンセン、監訳:株式会社テイラーネルソンソフレス?インフォプラン、訳:大里真理子/スコフィールド素子
ダイヤモンド社
2010年9月10日
ISBN-10: 4478012768
ISBN-13: 978-4478012765
1890円(税込み) FF11 RMT
引用元:RMT
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